単純反応時間とは、1 種類の刺激が提示されたときに 1 種類の動作で応答するまでの所要時間を指す。刺激の判別や応答の選択が不要なため、神経伝達と運動実行の基礎速度を反映する。成人の平均値は 150-250ms の範囲に収まる。

単純反応時間の定義と測定原理

単純反応時間 (Simple Reaction Time, SRT) は、あらかじめ決められた 1 種類の刺激に対して 1 種類の動作で応答するまでの時間を測定する。たとえば「画面が光ったらボタンを押す」という課題が典型例である。刺激の種類を判別する必要がないため、知覚から運動出力までの最短経路を反映する。測定値には末梢神経の伝導速度、シナプス伝達効率、筋収縮の立ち上がり時間が含まれる。

平均値と個人差の要因

健常成人の単純反応時間は、視覚刺激より聴覚刺激のほうが短いとされる。年齢、覚醒度、体温、カフェイン摂取量などが個人差に関わる。加齢に伴って単純反応時間は延び、その延びは主に運動出力の遅れによるという報告がある。日内変動も存在する。

認知テストにおける活用と限界

MyRank の反射神経テストが測るのは単純反応時間である。減算法では、選択反応時間から単純反応時間を引いて、刺激の判別と応答の選択にかかる時間を見積もる。SRT が極端に遅い場合は睡眠不足や注意散漫の指標となりうる。ただし SRT が捉えるのは認知能力の一側面である。また、予測タイミングを学習して刺激提示前にボタンを押す「先読み反応」が混入しやすく、刺激間隔をランダムにする設計はこの混入を減らすために用いられる。