反応時間とは、視覚 / 聴覚などの感覚刺激を受け取ってから、それに対する身体的な応答動作が始まるまでの経過時間である。一般的な単純反応時間は 200〜300 ミリ秒程度であり、刺激の種類、注意の状態、加齢、疲労などの要因によって変動する。認知心理学や神経科学において、情報処理速度の指標として広く用いられている。

反応時間の構成要素

反応時間は大きく 3 つの段階に分解できる。第一に、感覚器官が刺激を検出する「知覚段階」。第二に、検出した情報を脳が処理し適切な応答を選択する「認知段階」。第三に、運動指令が筋肉に伝達され実際の動作が開始される「運動段階」である。単純反応課題では刺激の判別や応答の選択が要らないため短い値を示すが、選択反応課題では刺激と応答の対応関係を判断する必要があり、選択肢の数に応じて対数的に増加する。この関係はヒックの法則として知られている。

反応時間に影響する要因

反応時間は固定的な値ではなく、多くの要因によって変動する。加齢に伴って反応時間は長くなり、単純反応時間の延びは主に運動出力の遅れによるという報告がある。睡眠不足やアルコール摂取は反応を遅らせる。一方、適度な覚醒状態や予測可能な刺激パターンは反応を短縮する。

測定方法と応用

反応時間の測定の基本的な課題は、視覚刺激の出現に対してボタンを押す単純反応課題である。より複雑な課題として、特定の刺激にのみ反応する Go/No-Go 課題や、刺激に応じて異なるボタンを押す選択反応課題がある。臨床場面では脳損傷の評価や薬物の影響測定に利用され、スポーツ科学ではアスリートのパフォーマンス評価に活用される。オンラインのテストでも反応時間を測定できるが、コンピューターで測った値には機器とソフトウェアによる遅れが含まれうる。