知能指数 (IQ) とは、標準化された知能検査の得点を、同年齢集団の分布に照らして換算した相対的な指標である。多くの検査では平均 100、標準偏差 15 に揃えられており、IQ 115 は平均より 1 標準偏差上、すなわち上位 16% 程度の位置を意味する。絶対的な能力値ではなく、あくまで基準集団内での位置を表す数値であるため、基準となる集団が変われば同じ人の数値も動く。
算出の考え方と標準化
広く使われている知能指数は、偏差 IQ と呼ばれる方式で算出される。大規模な基準集団から年齢別の得点分布を求め、そこに個人の得点を当てはめて換算する。この換算は、検査の実施条件が統一されていることを前提にしている。検査者の資格、教示の読み方、制限時間の計り方、部屋の環境までが厳密に定められるのは、条件が揺れれば得点が揺れ、換算の前提が崩れるからである。標準化とは、この比較可能性を確保する作業そのものを指す。
解釈の限界
知能指数は複数の下位検査の合成値であり、言語理解 / 知覚推理 / ワーキングメモリ / 処理速度といった側面の内訳が異なれば、同じ数値でも得意不得意は違いうる。さらに対人関係を読む力、粘り強さ、創造性などは検査の対象外である。集団を統計的に見れば学業成績などと相関するが、相関は個人の未来を決める式ではない。同じ数値の人々の間でも成績や収入はばらつき、学習環境や健康状態、機会の有無もその差に関わる。
ウェブ上の簡易テストとの区別
ブラウザーで受けられる「IQ テスト」の多くは標準化を経ていない。年齢別の基準集団を持たず、受験環境も統一されず、再受験の回数も管理されない。問題の形式が本物の検査と似ていても、算出される数値は知能指数ではない。選抜の場面で認知能力の検査を受け直した研究を集めたメタ分析では、再受験で得点が上がり、同じ問題の検査を使った場合に上がり幅が大きかった。標準化された検査では再受験の間隔が管理されるが、ウェブ上のテストにはその制約がない。