結晶性知能とは、学習や経験を通じて蓄積してきた知識、語彙、手続き的な技能を必要な場面で引き出して活用する能力を指す。流動性知能と対をなす概念であり、歴史の年号を答える、専門用語の意味を説明する、慣れた手順で作業を進めるといった場面で中心的に働く。加齢に伴う変化の仕方が流動性知能と大きく異なり、適切な学習が続く限り生涯にわたって伸びうる点が特徴である。
流動性知能との対比
初見の問題から規則を見つける流動性知能に対し、結晶性知能はすでに持っている引き出しの豊かさとその取り出しやすさに依存する。両者は独立ではなく、流動性の働きで得た理解が蓄積されて結晶性の一部になるという見方がある。年齢との関係は対照的で、流動性は成人期の比較的早い時期にピークを迎えて緩やかに低下する一方、結晶性は経験の蓄積とともに長く伸び続けうる。総合的な知的働きが中年期以降も高い水準で保たれるのは、この二つの推移が打ち消し合う面があるためと説明される。
測定における位置づけ
標準化された知能検査では、語彙や一般知識を問う下位検査が結晶性の側面を捉えている。これらの課題は教育歴や母語の影響を受けるため、文化や言語の異なる集団を比べると、教育や言語の差も得点に表れる。検査の総合値が同じでも、流動性寄りか結晶性寄りかで内訳が異なることがあり、総合値だけでは能力の性質までは分からない。