サッカードとは、ある注視点から別の注視点へ眼球を高速に移動させる運動であり、最大速度は 500-700°/s に達する。注視間の移動中は視覚情報の取得が抑制される (サッカード抑制)。サッカードの潜時 (刺激出現から眼球運動開始までの時間) は通常 150-250ms であり、この潜時の短さが視覚反応速度の基盤となる。前頭眼野と上丘の協調により生成され、訓練によって潜時の短縮と精度の向上が可能である。

サッカードの神経制御

サッカードは前頭眼野 (FEF)、補足眼野 (SEF)、上丘などの領域の協調により生成される。FEF は随意的なサッカードの計画を担い、上丘はサッカードの実行指令を脳幹の眼球運動核に伝達する。サルの大脳皮質の運動に関わる領域のニューロンを記録した研究では、神経活動が一定の閾値に達した時にだけ運動が始まり、閾値に向かう活動の増え方の速さのばらつきが反応時間の分布を生んでいた。

サッカードと認知パフォーマンスの関係

視覚探索課題のパフォーマンスには、サッカードの効率が関わる。熟練者は情報価値の高い領域に注視を集中させ、無駄なサッカードが少ないという説明がある。潜時が特に短いサッカードは、エクスプレスサッカードと呼ばれる。

サッカード能力の訓練

アンチサッカード課題 (刺激と反対方向を見る) を含む課題でビデオゲームのプレイヤーと非プレイヤーを比べた研究では、プレイヤーのサッカード潜時が短く、アンチサッカード課題の誤りの率には有意な差がなかったと報告されている。