定義と単利との違い

複利とは、元本だけでなく過去に獲得した利息にも利息がつく 仕組みである。単利が元本に対してのみ利息を計算するのに対し、 複利は利息が利息を生む雪だるま式の成長をもたらす。 年利 5% で 100 万円を運用した場合、単利では 20 年後に 200 万円だが、複利では約 265 万円になる。この差は期間が 長くなるほど劇的に拡大する。

100 万円を年利 5% で運用した場合の、単利と複利の残高比較
経過年数単利の残高複利の残高
5 年125.0 万円127.6 万円2.6 万円
10 年150.0 万円162.9 万円12.9 万円
20 年200.0 万円265.3 万円65.3 万円
30 年250.0 万円432.2 万円182.2 万円
40 年300.0 万円704.0 万円404.0 万円
元本 100 万円、年利 5%、途中の出し入れなしで計算した残高である。 単利は毎年 5 万円ずつしか増えないので伸び方は一直線だが、 複利は増えた分にも 5% がつくため、10 年で 12.9 万円、40 年では 404.0 万円もの開きになる。 本文の「20 年後に約 265 万円」は 20 年の行にあたる。 最初の 10 年で差がほとんどつかないことが、複利をあなどらせる原因でもある。

72 の法則

72 の法則とは、資産が 2 倍になるまでの年数を概算する 簡便な方法である。72 を年利率で割ると倍増に必要な年数が わかる。年利 6% なら約 12 年、年利 3% なら約 24 年で 資産が倍になる。

72 の法則による倍増年数の概算と、複利で計算した実際の倍増年数の対応表
年利率72 の法則による概算実際に倍になる年数
2%36 年35.0 年
3%24 年23.4 年
4%18 年17.7 年
6%12 年11.9 年
8%9 年9.0 年
12%6 年6.1 年
右列は複利で正確に計算した倍増年数である。 72 の法則は年利 8% 付近でほぼ的中し、利率が低いほど実際より長めに、 高いほど短めに見積もるが、どの行でもずれは 1 年以内に収まる。 たとえば年 3% の行は概算 24 年に対して正確な値が 23.4 年である。 この 24 年という数字は、資産が倍になる期間としても、 インフレで物価が倍になる期間としてもそのまま使える。

この法則は投資だけでなく、インフレ率にも適用できる。 年 3% のインフレが続けば 24 年で物価が倍になり、 実質的な購買力は半減する。複利の力は資産形成にも 資産の目減りにも等しく作用する。

資産格差と複利の関係 (r > g)

トマ・ピケティが示した「r > g」(資本収益率が経済成長率を 上回る) という不等式は、複利のメカニズムが格差を拡大させる 構造を端的に表している。資本を持つ者は複利で資産を増やし、 労働所得のみに依存する者との差は時間とともに開いていく。 世界の資産ランキングにおける上位層の集中は、この複利効果の 長期的な帰結である。

金融リテラシーとの接点

複利の理解は金融リテラシーの根幹をなす。MyRank の年収や 資産のランキングで自分の位置を確認したとき、現在の順位よりも 重要なのは「複利が今後どう作用するか」という時間軸の視点である。 早期に投資を始めた人と遅れた人の差は、能力や収入の差以上に 複利の作用期間の差によって説明される。ランキングは現在の スナップショットだが、複利は未来の軌道を決定する。